【菜那にお願いがあるんだ】


芦屋さんから連絡がきたのは二日後の水曜日ことだった。

芦屋さんに話すタイミングを見計らっていたタイミングでの連絡に背筋が伸びる。

しかし、お願いとはいったい何なのか。

困惑と期待と不安が入り混じる中、続きを待っていると住所が添付されて送られてきた。


【明後日の放課後、この場所に来て欲しい。傘返さなきゃいけないし】


住所を地図アプリで確認すると、そこは撮影スタジオだった。

でもスタジオなんて一般人の私が足を踏み入れて良い場所なのだろうか。 

聞けば【越水さんが迎えに行くから】と返信が来た。


【それなら越水さんに傘を渡してもらえれば】


そこまで文字を打って、消した。

答えを伝えなければならないから。


【分かりました】 


返信して深く息を吐き出した。