七夕の伝説


放課後。


「うーん」


理絵にマニキュアを塗ってもらい、イヤリングも着けてみたのだけれど、さっきから理絵は難しい顔をして首を捻っている。


「変?」


様子を伺いながら聞くも、理絵は首をさらに深く傾げるだけ。

仕方なく隣にいる佳苗に話を振る。

「変かな?」

「いや。そんなことないよ。似合うし、可愛い。でもおさげに、膝丈スカートの制服じゃ、やっぱりサマにならないね」


なるほど。

そういうことか。


「私も理絵みたいにいかにも女子高生、みたいな格好ができたらいいんだけどね。私がしたら確実に怒られちゃうから」


理絵が校則を守らずとも先生からあまり指摘されないのは、親が県会議員であることよりも、本人が優秀だからだ。

首席入学で常に成績トップ。

先生や親から文句言われないだけの努力を理恵はしている。


「すごいよね、理絵は」


私の言葉に佳苗もうんうん、と二度深く頷いた。

当の本人は謙虚なもので「なに言ってんの」と言わんばかりにヒラヒラっと手を振るだけに留め、話題を戻した。