「そうなんですか?」 「うん。一説によれば、キスすると長生きする、とも言われている。キスは日本だと恋人関係にないとしないのにね?」 芦屋さんの視線が口元辺りに降りたことに気付いて、唇を隠すように噛み、またそっぽを向く。 「ハハ。大丈夫だよ。同意がなければしないから。でももうあと一押しかなー。前進して嬉しいな」 私の言動ひとつで喜怒哀楽がはっきりする芦屋さんの様子を見て、嬉しい気持ちとどうしようと悩む気持ちが混在し、頭と心が混乱する。 傷つけずに済む方法はないのだろうか……。