「ごめんなさい」
失礼だと分かっていても、露骨に顔と目を背け、手を放した。
「俺のこと、嫌い?」
不安そうな顔で覗き込んだりしないで欲しい。
母性本能までくすぐられそうで困る。
「菜那?」
「ごめんなさい。ほんと、ちょっと放っておいてください」
焦りから少しキツい口調になってしまった。
ハッとして芦屋さんを見ると、傷付いたように瞳が揺れていた。
それを目にして黙っていられなかった。
「このままじゃ、好きになっちゃいそうだからっ」
「え?」
芦屋さんの目が驚きで見開き、瞬きを繰り返している。
私は言ってしまったことを後悔して、口を手で押さえながら訂正する。
「嘘。嘘です。ごめんなさい」
謝ってみたものの、芦屋さんの表情はみるみるうちに明るくなった。
そして身を屈め、私と視線を同じ高さにして言った。
「いいこと教えてあげる。恋愛した方が長生き出来るんだよ」
「え?」
芦屋さんの言葉に思わず反応してしまう。


