七夕の伝説


マクロビとは肉・魚・卵・乳製品は摂取しないで、主食の玄米に、豆や野菜、海藻類をおかずにして食べる、いわゆる自然に則した食事法のこと。


「体に優しい食事がいいのは、腎臓も心臓も同じだから」


芦屋さんはきちんと調べて、予約までしてくれていた。

お互いさまだとはいえ、体を気遣ってくれたことは素直に嬉しくて、胸がジンと熱くなった。


「ありがとうございます」

「ん。それより、菜那は何にする?」


メニューを見て、お豆のハンバーグがメインの日替わり定食を頼んだ。


「お野菜たっぷりで美味しいですね」

「そうだな。ほんと、体にも良さそうだし」


芦屋さんの返答に、このタイミングで言おうと決め、箸を置いた。


「ん?どうかした?」

「あの。私、11月の上旬に腎生検の検査を受けるんです」


少し首を傾げた芦屋さんは、私と同じように箸を置き、話を聞く姿勢を整えてくれた。


「定期的な検査なんですけど、父が心配していて」

「お父さんの気持ち、分かるよ。検査って結果が出るまで不安だもんな」


小さく頷き、話を続ける。


「父にはあまり不安を与えたくないので、今日は少し早めに帰らせてもらってもいいですか?」

「それは全然構わないよ。ただ……」


芦屋さんは私から目線を外し、言い淀んだ。

どこを見ているのだろうと視線の先を追ってみたものの、すぐにこちらに視線は戻り、真っすぐに見つめられた。

見た目は女性でも、鋭い視線は男性的で、胸がドキッと反応してしまう。


「えっと……」


見つめられることに耐えられなくて困り、口ごもる。

すると芦屋さんははっきりとした口調で言った。


「また会ってくれるって約束だけは欲しい。俺は菜那のこと、もっと知りたいし、またすぐにでも会いたいから」