「うわー」
そからほどなくして着いたお寺は、感嘆の声をあげてしまうほど立派な竹林があるお寺だった。
「菜那。お抹茶あるみたいだけど飲める?」
芦屋さんに聞かれて頷く。
「じゃあ、2人分。お願いします」
受付で注文を済ませると、芦屋さんがお代を支払った。
「あ、自分の分は自分で払います」
慌てて鞄に手をかけるも、その手は芦屋さんに止められ、そのまままた握り締められた。
「支払いは気にしないで。俺、かなり稼いでいるし、誕生日のお祝いだから」
「だからそれはもう」
いいって言ったのに、有無を言わさぬ笑顔に、釈然としない思いを抱えつつ、閉口し小さく頷いた。
それからお寺の中を歩いて回り、風に揺れる竹林を眺められる大広間に腰掛け、お抹茶を頂く。
まずはお菓子から。
甘さが口いっぱいに広がる、至福の時。
それからお茶碗に手を伸ばし、時計回りに2回回す。
「……スッ」
最後に音を立てる、吸い切をするのには少し抵抗があったけれど、作法だからと思い、音を立てて飲み終えた。
それから飲み口を手で拭いていると、視線が向けられているような気がしたので隣を見上げると芦屋さんはこちらを見ていた。
「どうかしましたか?」
そう聞くと、芦屋さんは私の手元にあるお茶碗と私を交互に見て言った。
「菜那。作法、知っているんだね。さすが、育ちのいいお嬢様は違う」


