七夕の伝説


休日とあって10時の時点でかなり混雑している。


「とりあえず、お寺に行こう」


ここでも芦屋さんに言われるがまま付いて行く。

でも人通りが多くて、さらに歩幅が広い芦屋さんと並んで歩くのは難しくて、追いかけるように小走りでいると、気付いた芦屋さんが手を差し伸べてくれた。


「え?いや。変ですよね」

「そう?仲が良ければ女の子同士で手を繋ぐ子もいるでしょ?」


そうなのだろうか?

身近な女の子を思い浮かべながら考えている隙に、芦屋さんは私の手を取った。


「慣れているんですね」


あまりに自然に繋がれたものだから思わず口から言葉が漏れた。


「気になる?」


芦屋さんに言われて、首を横に振る。

芦屋さんが誰と、何人とお付き合いされていたのかなんて気にしたりしない。

気にすることさえおこがましい。


「自然だな、と思っただけです」

「なんだよー。そこは嘘でも『気になる』って言って欲しいのに」