病気のせいで娘に腎臓を与えることが出来なかったことを今でも悔いているようだ。 父のせいでは決してないのに。 「そうだ。このケーキ、お隣さんに半分、おすそ分けしようか」 努めて明るく言うと父は俯いた顔を上げて頷いた。 「ふたりじゃ食べきれないもんな」 父はそれからナイフでケーキを綺麗に等分に切り、箱に入れた。 「行ってきます」 箱を持って、親子3人で住む隣の前田家へ。