「いけない。座らないと。えっと、どこか空いているところは……」
空いている席を探すように目を動かす。
すると越水さんの隣にいた受付の男性が案内をかって出てくれた。
「おっと、その前に」
越水さんに腕を掴まれ、引き止められ、会場内の照明が暗くなる中、足を止めた。
「芦屋から伝言を預かっているの。『講演が終わったら楽屋に来て欲しい』って」
「あの、話を聞いているかもしれないんですけど、私、芦屋さんとはほとんど面識なくて」
そう話すも、越水さんは聞く耳を持たず。
「終わり次第、私が案内するから、受付に声を掛けてね」
とだけ言って会場から出て行ってしまった。
「ご案内します」


