七夕の伝説


「日曜日の午後2時。コンベンションホールの移植医療の講演会に来て欲しいそうです」


受話器を置いてから担任に言うと、早速調べてくれた。


「講演内容と時間、場所は合っているな。芦屋星はゲスト出演か。ただ、当日券はないようだぞ?」

「受付に名乗れば良いそうです」


越水さんに言われた通りに答えると、担任はしばらく腕組みをして考えた後、前向きな言葉をかけてくれた。


「それなら行って来たらいい。講演内容は如月に関係のあることだろう?」


担任の言葉に小さく頷く。


『移植医療の講演会』


今まで講演会や勉強会、移植経験のある方たちの集まりには父が勉強のために参加してくれていた。

高校生になった今、自分の体のことは自分できちんと知っておきたいと思い始めていたから参加できるものなら行ってみたい。


「行っても大丈夫ですかね?」


聞けば担任は背中を押してくれた。


「大丈夫だろ。行って損になることはなさそうだし。それでも不安なら一緒に行ってやるけどどうする?」

「ありがとうございます」


担任の優しさに触れて、心が温かくなった。

でも先生に同行してもらわないといけない理由は見当たらない。


「ひとりで、行くだけ行ってみます」


そう答えてから頭を下げ、教室に戻ろうとした時、それまで成り行きを見ていた教頭先生が声をかけてきた。


「もしかして如月さんと芦屋星さんは、その…移植の繋がりなの?知り合いならサインとか……」


そう言ってきた教頭先生には笑顔を向けるに留め、教室に戻り、職員室に呼び出された経緯を佳苗と理絵に話した。