七夕の伝説


「プルルルル…」


耳元ではコール音。

背後からは教師たちからの視線という、緊張感しかない状況の中で、連絡先の相手は5コール目で出た。


『はい。越水です』

「あ、あの。如月菜那、です」


名乗るだけで精一杯だった私は、助けを求めるように担任を見上げる。

すると担任は適当な紙に文字を乱雑に書き始めた。

私はそれを読んでいく。


「学校の先生から、連絡を、受けました。ご用件は、なんですか?」


辿々しく音読すると、越水さんは明るい口調で返してくれた。


『良かった。連絡をくれて。ついさっき、事務所の方から『高校から問い合わせが来ているけど大丈夫か?』って言われたから、もしかして連絡くれるかも、って思っていたところなの』

「はぁ」


それしか言えない私と、それしか言わない私を心配そうな目で見てくる担任。

無言でいると、越水さんの方から口を開いた。


『本当なら芦屋が直接話したかったんだけど、今、撮影に入っちゃって。だから伝言。伝えますね』