七夕の伝説


彼女がこれを見つけてくれるかは分からない。

でも……


「年に一度なら会いに行ってもいいですよね?」


外へ出て、空を見上げる。

ちょうど晴れた夜空には天の川が綺麗に見えた。

七夕の伝説には、7月7日にかささぎが天の川に橋を架け、織姫がその橋を渡って彦星に会いに行く、とされているが、俺から会いに行ったっていいはずだ。

織姫の父親は、七夕にだけ会うことを許してくれているのだから。

ただ、雨が降ると川が増水して橋を架けられないので2人は会う事が出来ないともいわれている。

今年の七夕の天気予報はどうだろう。

スマートフォンを取り出し、週間予報を確認した。


「雨じゃん」


でも、去年、彼女はなんて言ってた?

『七夕の日に降る雨は織姫のうれし涙っていう説があるんですよ』


彼女はどうだろう。

俺に会ったら泣くだろうか。

それとも笑う?驚く?怒る?

どれでもいいか。

彼女がどんな表情だとしても、彼女に"会える"ことは、彼女が生きている証だから。

俺の涙が嵐を呼び起こすとしても、このまま七夕は雨予報であれ。

俺はきみに会いに行くよ。

傘とハンカチを持って。