七夕の伝説


プロポーズは余計なしがらみに囚われる中でするのではなく、彼女だけを想いするべきだったのだ。

病気のことに関しても、弟の腎臓を彼女に差し出すのではなく、先の見えない治療の中、彼女の生き甲斐となることを共に考え、共に行動するべきだった。

今頃気が付いても遅いのに。

結局なにもしてあげられなかったことが悔しくて、後悔ばかりだ。

弟のことも結局、どうにもならず、今もまだ延命治療を継続してもらっている。

おそらく、臓器が限界を迎えるまでこのままだろう。

今は弟の存在が、弟に掛かる治療費を俺が稼がなければならないから、俺はカメラの前で笑いたくなくてま笑えるのだけれど、それでいいのかと自問自答する日々が続いている。


「ほんと、これからどうしたらいいんだろうな」


眠ったままの弟に聞いてみた。

答えは当然、返ってこない。


「また来るよ」


いつものように声を掛け、面会時間終了間際に病室を後にした。


「あ」


思わず口にしてしまったのは病院の玄関先に差し掛かった時だ。