彼女と出会って1年が過ぎた。

俺はまだ彼女を忘れられていない。

特別美人なわけではなく、小柄で色白で細身の彼女は年の割に幼く、病的に見えた。

事実、彼女は大病を患い、俺と同じ移植を受け、また再発し、俺の前から姿を消した。

いや、消したと言うのは語弊がある。

会わないと決めたのは俺も同じなのだから。

でも俺は彼女を忘れられない。

彼女に想いを馳せる意味で、彼女と出会った七夕、彼女の生まれた七夕の日に纏わる話しを調べてみたりもした。

その中で見つけた気になる伝説。

それは天女の羽衣伝説だ。

若者が天女の羽衣を拾うところから物語は始まる。