七夕の伝説


「未来のある芦屋さんの戸籍は汚したくなかったから」

「未来って、菜那も移植を受ければ未来が開けるだろ?一緒に夫婦になっていこうよ?それとも俺とじゃ不満?俺の気持ち、疑っている?」


絞り出すような芦屋さんの声は疑いようもない。

だから心の底から嬉しいと思った。

でも私は首を横に振る。


「芦屋さんはとても素敵な方です。昴もそう。こんなに素敵なんだもの。ふたりにはもっと、もっと幸せな未来があるはずなんです。私と関わっては幸せにはなれません。私はいつ死んでしまうか分からないから。悲しみしか背負わすことが出来ないんです」

「移植って方法がある。それも目の前に!幸せにはなれるんだよっ!」


芦屋さんの想いに言葉が詰まる。

それでも私は首を縦には振れない。


「昴にも言いましたけど、倫理上、認められないはずです」

「そこは知り合いの医師に頼むから大丈夫だって。法は犯してないし、それに俺たちは両想いじゃないか。偽装でもなんでもないんだよ」