「乗れ」
おんぶしてやる、と言っている昴の申し出をさすがに断る。
でも昴は頑なに姿勢を変えず、さらには芦屋さんも付いてくればいい、と言い出した。
「話は自宅でしろ。これ以上、ここに菜那をいさせるのは体に毒だ」
「なら俺が」
芦屋さんが私の腕に触れた。
でも、それを昴の低く鋭い静かな声が制した。
「そんな細腕で菜那を無事に送り届けられるとは思わない」
反論の余地がなかったのか、芦屋さんはそのまま一歩後退し、私の背中を押した。
「菜那。彼の背中を借りるといい。荷物は俺が持って行くから」
「でも」
反論の余地がないのは私も同じだった。
ふたりの覚悟を前に成すすべなく、昴におぶさる形で自宅まで帰った。


