七夕の伝説


昴の手からペットボトルを受け取り、目に当て、まだ側にいてくれている昴に再発したこと、神を恨むしか私の精神を保つ方法がなかったことをぽつりぽつりと伝えた。


「ねぇ、昴」


目元からペットボトルを外し、隣を見上げる。

昴はどこか遠いところを見ていた。

でもちゃんと耳は傾けてくれている。

だから神さまでもなく、織姫でも、彦星でも、サンタさんでもない、昴に願い事を言う。


「もし私がいなくなったら、お父さんのこと、気に掛けてあげて欲しいの」


自分勝手な、実にわがままな願い事だ。

でももう頼めるのは昴しかいなかった。


「我が家の全財産を昴に譲る遺言書く。だから昴が家を出ても、実家に寄る時はうちにも寄って欲しい。お父さんとメル友になって欲しい。たまに話し相手になってくれるだけでもいいから」


最後の方は声が震えてしまった。

当然、昴は気づき、また優しく、でも力強く肩を抱き寄せてくれた。


「心配すんな。死なせねーから」

「でもね、それは難しいんだって」

「治療法がないわけじゃないんだろ?」


昴に聞かれて、医師から言われたのと遜色ない説明をした。

すると昴はフッと鼻で笑った。


「なに?」