七夕の伝説


耳に届く楽しそうな声が苛立ちに変わる。

私にはなにもいいことがないのに、私は今、絶望的な気分なのに、なんでみんなは幸せそうなの?

どうしてこんな明るい曲を流すの?

どうして私は、私の家族は幸せになれないの?

サンタさんは願いなんて叶えてくれないのに。

ツリーの周りに置かれたプレゼントにだって、私が求める幸せの箱はないのに。

煩わしい。

鬱陶しい。

こんなイベント要らない。


「そうだ」


もみの木ごと燃やしてクリスマスを消滅させてしまおう。

私だけが不幸で、みんなが幸せなんて、そんな理不尽なこと許せないんだから。

神様もそう。

願うだけ無駄なのなら、もう要らない。

神に縋る、生誕を祝う行事は全て、私の手で抹殺する。


「コンビニでライターを買おう」


脳裏に過った計画を実行すべく、フラフラとコンビニ方向へと足を向けた時。

ひとりの男性にぶつかった。


「痛ぇ」


その声は昔から聞いている馴染みのある声。