「人気絶頂の芸能人を虜にするくらいなんだ。菜那はモテるよ。母さん譲りの美人さんなんだから。そうだ、昴くんなんてどうだい?」
父に聞かれて、フッと笑ってしまう。
「お父さんって意外と昴のこと気に入っているんだね」
「見た目はアレだけど、男気溢れる男の中の男って感じだからな。父さんは好きだよ」
「そっか。でも昴は私なんて相手にしないよ。恋愛の話し、聞こうとした途端、帰っちゃうし。私とはその手の話し、したくないみたい」
お見舞いに来てくれた時のことを話すと父は笑った。
「男は恋愛の話なんてしたくないのが普通だよ」
「そういうものなの?」
聞き返せばまた父は笑った。
ここ最近、心配ばかりかけているから父の顔に笑顔があることがとても嬉しい。
それが昴のおかげだとしたのなら、昴に感謝しないといけない。
芦屋さんに気持ちを伝えられたのも、直前に昴と話していたことも大きいわけだし、退院したらお礼を兼ねてケーキを焼いて持って行こうなんて考え始めている。
本当ならもっと心の中がモヤモヤしていてもおかしくないのに。
芦屋さんに申し訳ないと思っても、今の私と父の心は昴の存在に救われているのだ。
「お父さん。それで退院はいつになるんだって?」
「明後日だよ。結果が出るのはひと月先だって、さっき出くわした時に先生から聞いたんだ」
「ひと月かー。長いね」
自覚症状がないにしても、やはりひと月は長い。
どうしたった結果が気になって注意力は体力が回復したであろう退院後であっても散漫になる。


