「ちょ、ちょっと、何しているんですか?!」
「黙って。今、菜那のお母さんと話しているんだから」
まるで本当に話しているかのような真剣な言い方に、口を噤む。
すごくドキドキするし、状況に動揺してしまうけれど、黙ってふたりの会話を聞くことにした。
「『いのち短し恋せよ少女』。そうですよね。お母さんの言う通りですよ。え?なになに?あ、『病気と傷痕を気にしているのよ』?病気なんて遅かれ早かれ誰でも患うものですから問題ありません。それに、菜那さんの傷跡は命の尊さを感じる、綺麗で美しいものですよ」
「そう思うのは同じ経験をしているからです。普通、見たくないですよ。こんな生々しい手術のあとなんて」
また会話に口を挟むと、芦屋さんは私を抱きしめる手を緩め、私の前に回ってから視線を合わせて言った。
「なら同じ経験をしている俺を選べばいい。俺は菜那の傷痕を見たくないなんて思わない。むしろ見たいし、触れたい」
真っ直ぐな視線と言葉が胸を打つ。
鼓動が速まり、呼吸も浅くなる。
「俺に見せて。俺が着替えさせてあげるから」
「でも」


