「菜那が手術したのって左側なんだね」
ハッとして顔を上げると、芦屋さんがこちらに近付いて来るのが分かったので、離れようと後退する。
「大丈夫だよ。傷は見えない。それにその位置なら下着で隠れるんじゃない?」
言われて、芦屋さんは私がなぜ突然、拒絶し始めたのかを理解してくれているのだと悟った。
でも私は首を横に振る。
越水さんが用意してくれたドレス用の下着はビスチェとショーツがバラバラのセパレートタイプで、丈が短いビスチェからは手術痕が見えてしまったのだ。
私の場合、皮膚が弱いこともあって、手術の傷痕が赤く腫れ上がっている。
見慣れていない人が目にしたら、絶対に目を背けたくなるはずで、同じ手術経験があっても人前に脱いで見せられるような芦屋さんの綺麗な傷痕とはわけが違う。
「むやみやたらに、不快な思いなんてさせたくないんです。本当に申し訳ないですけど、モデルは出来ません。他の方にお願いしてください」


