にべないオウジ



半分持つと言っても、持たせてくれなかった。

「どうせ落としたり破れたりするから怠い」と言って、私に渡されるのは小さい袋だけ。


「もう二度とお前とは買い物しない」


心底ウザそうに言葉を吐くオウくんを横目に、ふと渡された袋の中身を見る。

アイスだ。私が食べたいって駄々こねてた、アイス。オムライス味じゃないけど。ソーダとバニラが入ってる棒アイス。私が小学校の頃から好きなやつ。


おばさんがニコニコと笑いながら手を振ってくるので、私は頭を下げた。


「……アイス、買ってくれたんだ」

「うるさくてウザいから」

「食べていい?」

「勝手にすれば」


オウくん。なんで私のこと見てたんなら、目、合わせてくれないの?


「ありがとう」

「……別に」

「オウくんも食べる?」


一口かじって、ソーダの爽やかさとバニラの甘さが口の中いっぱいに広がる。暑い日にはやっぱりアイスに限るよ。

あ、でもオウくん甘いの苦手なんだった。そう思って手を引っ込めようとするけど、彼は何も言わず、両手に袋を持ったまま、身を屈めて私の持つアイスにかぶりついた。

びっくりして、しばらく腕が固まっていると、指先から水色のアイスが溶けて流れていく。