お会計が終わるまで大人しく外で待ってろ、と冷たく言い放たれるので、仕方なく私は大人しく外で待つことにする。
外は暑いのでクーラーの効いているところで、じっと待つ。
オウくんと買い物するの、新鮮で、特別で、楽しかったのにな。
また私の空気読めない行動が台無しにしちゃったのかな。
私に試食のベーコンを焼いてくれたスーパーのおばさんが通りかかって、私を見ると「ああ」と顔を綻ばせた。
「さっきの彼氏さん?かっこいいねえ」
「えっ」
彼氏じゃないですって首振らなきゃいけないのに、私は固まったまま動けない。
「なんだかんだ言いながら、あなたのことずっと心配そうに見てて。あなたが喜んでたら同じように嬉しそうにしてて。微笑ましかったわぁ」
うっとりと、オウくんの姿を思い出しているのか、おばさんが両手を合わせて目を閉じる。オウくんは熟女キラーなのかもしれない。と、どこか他人事の自分が思う。
オウくんが、私のことずっと見てて、嬉しそうにしてた?そんなの、信じられない。
だって目が合うことなんてなかったし、目が合ったとしてもウザそうに睨まれるばっかだった。
大きい袋を両手に引っさげて、彼が怠そうにスーパーから出てくる。王子様の庶民的な姿が似つかわしくなくて、瞬きをしてしまう。

