にべないオウジ



重いスーパーの袋をぶら下げて、私も持つって言ってるのに小さい袋しか渡してくれなくて、オウくんは心底ウザそうに言葉を吐く。


「もう二度とお前とは買い物しない」


事はすこーし前に遡る。




スーパーに着くやいなや、私はちょっとテンションが上がってしまって、買い物カートを押して子供みたいにはしゃいでしまった。

それを隣にいるオウくんが冷めた目で見ている…かと思ったのに、意外とそんなことなくて、「危ないよ」なんて言いながらそっとカートを引き寄せてくれる。

そんな些細なことになんだかすごくドキドキしてしまって、私は上手くカートが押せなかった。


遊馬くんのリクエストで、塩ちゃんこ鍋にするらしい。

イカをカゴに入れて無言で取り出され、納豆を入れてまた取り出される。仕舞いには「お前もう食材触んな」なんて言われて、私に与えられた任務はカートを押すだけ。


ちぇっ、オウくんのケチ。納豆入れたら意外と美味しいかもしれないじゃん。

だけど普通の顔して食材をポイポイとカゴに入れていくオウくんがなんだか見慣れなくて、もう一生見れないかもしれないと思い、私は見とれてしまう。


「お酒買おうよ!」

「はあ?飲めないくせに、何言ってんだよ」

「飲めるよ。もう成人したもん。ねえ、オウくん、お願い」

「……」


んんっ、と咳き込んだオウくんは、顔を歪めて、小さい声で「ちょっとだけにしろよ」とぶっきらぼうに言った。