にべないオウジ



「……お姉ちゃんが、オウくんによろしくって」

依子(よりこ)さんが?」


私のことは滅多に名前を呼ばないくせに、お姉ちゃんのことをこんなにも簡単に名前で呼ぶ。

そういえば、オウくんと姉は昔から何故か仲が良かった。ある時を境に、もう二人で遊ばなくなったみたいだけど。

なんだか、むかむかする。悪いものでも食べたんだろうか。依子さんって、昔から呼び慣れてるみたいに言うから、すごくむかむかした。


「オウくんのバカっ」

「は?なんでだよ」

「知らない。先スーパー行くから!」

「あ、おい、危ないって」

「私の事、いつまでも子供扱いしないで!」


私だって、一人で買い物くらい行けるし、まぁ買い物リストがないと無理だけど、大きすぎるスーパーは苦手だけど、でもそれくらい一人で出来る。

早歩きしたって躓いたりしない。

いつまでも小学生みたいな私じゃないの。


お姉ちゃんみたいな大人っぽさはないけど、肩を出した服とかは着れないけど、真っ赤な口紅は塗れないけど、だけどオウくんが思ってるより私だって大人なんだから!

もう20歳も超えて、立派にお酒も飲める歳なんです!


「……ごめんなさい。やっぱり並んで歩きたい」

「……しんどい」

「え、また?」


オウくんは時々変だ。物凄く熱っぽい瞳で、私を見てくるから。