工藤弟に関しては年下だ。それも高校生!年下にあんなバカにされたように笑われてさ。まぁ工藤弟の場合いつものことだけど!
キリちゃんがラーメンを綺麗に食べ終えて、息を吐いた。彼女は食べ方がとても綺麗だ。
「透子。仁見さんだって大して恋愛経験なさそうなんだから、そんな聞いちゃだめだよ。可哀想」
「そっかー。ごめんね、仁見さん」
「桐島さんが一番ひどいこと言ってるね!?」
三人でご馳走様でしたと言って手を合わせ、それぞれお会計をする。
店を出ても外はまだ明るくて、夏だなぁと他人事のように思った。もうすぐ夏休みだ。夏休みになると、しばらくオウくんに会えなくなる。
私は小、中、高、と全ての長期休みが大嫌いだった。
一番長い夏休みなんて、特に地獄。いつも当たり前のように会えていたオウくんに、会えなかったから。
たまに工藤家に行って弓道の練習姿を見たりしていたけど、私の家も海外旅行に行ったり、母にむやみやたらに家から出るなと言われたり、とにかくオウくんに会う機会が格段に減るからだ。
だけど、ふと思う。大学を卒業して、社会に出たら、私はもっともっとオウくんに会う機会が減って、会わない日が当たり前になっていくのだろうと。
「そういえば、最近彼氏探しはどうなの?やってる?」
「……ああ、もう諦めました。もし私のことが好きだって言ってくれる人が居たら、その人と付き合ってみようと思います」
「だめだよ!!」
突然、キリちゃんが声を荒らげる。びっくりして、私と仁見さんは歩くキリちゃんを凝視した。
気まずそうに、キリちゃんが目を泳がせる。