はは、何、恋が何かも分からないような甘ちゃんが、何言ってんの。
俺の何が、分かるっていうの。
透子ちゃんには分からないだろ。あの人を無茶苦茶に抱いた後、別の女を抱いても、全く気持ちよくないこと。それでも誰か傍に居て欲しくて、気持ちいい振りをすること。
そうだよ。俺の寂しさは、あの人じゃなきゃ埋められない。
一生埋めてくれない、あの人じゃなきゃ。
「わっ、ちょ、あ、遊馬くん!?」
一歩、二歩、透子ちゃんに歩み寄って、そっとその華奢な肩に額を乗せる。
あまりにも位置が低くて、少しだけ首が痛む。
「……ごめん。桜司には、内緒にしてて」
透子ちゃん、俺はさ、普通の恋愛がしたかったんだ。
同年代の女の子を普通に好きになって、連絡を取り合って、相手の返事が来たら喜んで、デートに行って、三回目くらいで告白する。
OKの返事が貰えたら周りに言いふらして、調子乗んなって誰かに小突かれる。
そんな、どこにでもあるけど、どこにもない恋愛。
透子ちゃんは俺が離れるまで、そこから動くことはしなかった。俺に触れることも何かを話しかけることもなかったけど、ただじっと、俺に体を預けられていた。

