栞さんには、旦那さんがいるのに、俺とこういうことをする。
それは世間一般で言うと不倫と呼ばれるのかもしれないし、お互い寂しさを埋めるための仕方のないことだと言ってくれる人もいるかもしれない。
いや、そんなこと誰も言ってくれないな。
俺達のこの関係は、誰にも言えないし、この世界で俺達は悪者だ。
「あっ、あす、ま、くん、あすまくんっ」
「呼んで。もっと俺の名前、呼んでよ」
俺の指が動く度、ビクビク体を震わせて、まるで俺に操られているかのような彼女に、優しくキスをする。
体に力が入らなくなった彼女の口の中に入るのは容易い。俺の全てを受け入れる中に入り込んで、掻き乱す。
どちらとも分からない唾液が彼女の頬を伝い、ホテルのシーツにシミを作った。
「声が枯れるくらい、俺の事求めて」
「んぁっ、ぅ……ぁあっ!ほし、い、遊馬くんがっ、ほしいっ…!」
やだやだと首を振りながら獣みたいに俺を求めて首にしがみつく彼女の頭を撫でる。
よく出来ました。
彼女の好きな入口の右側を抉るように突いて、そのまま俺自身も中に入る。理性なんてお互いとっくにぶっ飛んで、待つのは絶頂のみ。
俺の下で力尽きて気絶するように果てる彼女を眺めているこの時間が、生きている中で一番楽しいし、切ない。