にべないオウジ



工藤家の家の前にある街灯に照らされるオウくんの顔は、歪んでいた。

だけどいつもみたいに嫌そうな顔じゃない。なんだか何かに堪えるような、思わず頭を撫でてあげたくなるような、そんな表情。


会えた。オウくんに会えた。


「呼んでってお願いしなかったら、そうやって呼んでくれるんだ」

「え?……あっ、いや、これは違っ」

「ふふ、オウくん、変なの」


肩より少し下の髪を、緩く後ろで一つに結んでいる。

そのせいで髪が短くなったように見えて、昔のオウくんを思い出した。


「な、んで、ここに?」

「あのね、今日はごめんなさい。きっとあの後気まずい空気になったよね。私はオウくんの言う通り空気が読めないから、キリちゃん達にも申し訳ないことして、」

「なんで」

「え?」

「なんで、お前が、謝るんだよ」


だって、このまま仲直り出来なくて、気まずいままオウくんに特別な子が出来て、もう一生オウくんと喋れなくなるのは嫌だって思ったの。

それなら私から謝るくらい、全然苦じゃないと思ったの。