にべないオウジ



そんな透子に、目の前で、捨てろ?

桜司と同じ大学に行くんだって自分の偏差値よりもかなり高いところ目指して、毎日がむしゃらに勉強して、だけど受かるか不安で、最後の最後、勇気を出して渡したチョコを?

頭が痛い。こいつを5発殴っても神様は許してくれると思う。


「待って、それは自覚後?」

「まぎれもなく、自覚後でございます。ですが彼はゴミ箱に捨てられたチョコを後から回収し、きちんと召し上がりました」

「それ、世間一般でなんて言うか知ってる?」


桜司が、私の目を見た。悔しいけど、やっぱりその瞳は、見ていると吸い込まれそうになる。


「サイコパスって言うんだよ」


小学校の時、クラスのみんなが桜司のことを好きになって、ちやほやされて、持て囃されて、それは20歳になった今でも続いている。

そんなみんなの王子様は、とんでもないサイコパス野郎と化した。


「ぶはっ、確かにサイコパス……ふふっ」

「遊馬…」

「でも桜司だって成長したんだよね?この前勇気振り絞って透子ちゃんに連絡先聞けたんでちゅもんね〜」


そもそも小学校から一緒なのに連絡先知らないことがおかしいんだよ!!