「いつから、透子のこと好きだったの」
「高3」
「それまで散々ひどい扱いしてたけど、それは好きだって気付いてなかったから?」
「まあ」
「いやでも今も大して変わんないよね。え、好きならなんであんな態度なわけ?」
どうしよう。分からない。パニックだ。
好きな相手に「こんな奴に彼氏できるわけない」とか「早く歩けグズ」とか「大して可愛くもないくせに」とか言う?
透子を見て舌打ちしたり嫌な顔したり不機嫌になる?
「あんたまさか、好きだって自覚してから透子の接し方分かんなくなったとか子供みたいなこと言わないよね?」
桜司はぐっと下唇を噛み締めた。
かわいこぶってんじゃねえよ!!
「彼は今、高校時代のバレンタイン、勇気をだしてチョコを渡す透子ちゃんに、目の前で捨てろと言ったことを猛烈に後悔していらっしゃいます」
遊馬くんがまるで召使いのように言って、憐れむように手を合わせる。
ああ、高3の冬休み、同じ大学に受かるか分からないから最後にチョコを渡したいって言ってた時だ。

