えっと、この人の名前、なんだっけ。
ああそう、遊馬。オウくんの友達、遊馬くんだ。
いつも明るくて周りの人を楽しませてる人。単純に、すごいなぁと思う。
その人に何故か、物凄い剣幕で詰め寄られている。それはあの噂が流れ始めてから、2日経った時のことだった。
「透子ちゃん、君は桜司が好きなはずなのにあんなセンスないTシャツ男に告白するなんて、失望したよ!!」
「いや、あれは告白っていうわけじゃ…」
「今すぐ桜司に誤解を解いて、アナタノコトガートゥキダカラー!って熱く抱きしめて!早く!」
ダメだ、聞いちゃいない。
遊馬くんはまたオウくんに振り回されているのか、「俺の平穏があああ」と頭を抱えた。大変そう。
「桜司はね、彼氏作れとはついポロッと言っちゃったけど、透子ちゃんから告白しろなんて言ってないんだよ!この違い、分かるかな!?」
「分かりません」
「無念!!」
私はもう今日の講義は終わったからちゃっちゃと帰りたいのに、この人がそれを許してくれない。
時計を見ると、3時過ぎ。キリちゃんに一応先帰っててって言っておいて良かった。
この人の話は、少し長そうだ。

