「だって久瀬さん、俺の事好きなわけじゃないでしょ?」
「はい」
「めっちゃ言い切るじゃん…」
「だけど私はオウくんしか知らないし、男友達もいないし、最近知り合ったばかりだけど私には仁見さんしかいないんです!」
「困ったなぁ…。それに俺も恋愛経験豊富じゃないから、そんな、教えられないよ」
うーん、と二人して頭を悩ませる。
恋愛シュミレーションゲームとかやってみればいいのだろうか。少女漫画を読み漁るとか?だけどどれも物語の中の話だし、参考にはならなそう。
それにどれもお金がかかる。今月お小遣いピンチなんだよなあ。
「どうして突然そんなこと言い出したの?」
「オウくんが言ったんです。彼氏でも作ってこいって…」
「ええ、自分のこと好きだって言ってる女の子にそれ言う?」
「うーん、まぁ、オウくんですから」
そう言うと、仁見さんも「うーん、まぁ、そうかぁ」と納得してしまった。
直接そんなに関わりがない人にも、オウくんだからという理由で通ってしまうのだからすごい。
彼と関わっていなくても、名前と顔は知ってるっていう人、きっと沢山いるんだろうな。
どこにいても、彼は有名人だ。

