にべないオウジ



ぽかん。

オウくんが唖然と私を見下ろし、その様子からすると私の言葉を上手く理解出来ていないようだ。



私は基本的にバイトもしていないしサークルも入っていないので、講義が終わると暇をしている。だからオウくんと終わる時間が同じ曜日、週に二回、私達は一緒に帰ることにした。

それを決める時も、絶対嫌だって言われるだろうなって思ってたのにオウくんは普通に「いいよ」と言うから驚いたものだ。


まだこの人の彼女っていう実感は正直ないけど、歩くのが遅い私に合わせてくれるオウくんを見つめながら歩いて、たまに「ちゃんと前向け」って素っ気なく言われて、危なっかしいって言いながら手を繋いでくれた時は、天にも登る思いだった。


私が気付いていなかっただけで、オウくんは私が躓かないように配慮してくれてたし、ICカードをどこに入れたかすぐ忘れる私のために直した場所を覚えてくれてたし、私が話し始めるといつも最後まで聞いて、それが嬉しい話だったら「良かったな」って同じように嬉しそうに小さく笑ってくれた。


「あ、見てオウくん。ビションフリーゼ!可愛いねー」

「んなことどうでもいいんだよ!」

「あ、ごめんなさい」


えー、でもビションフリーゼってめっちゃ可愛いんだよ。白い毛がもっこもこでさぁ、アフロみたいに形が丸くて、目がクリッてしてるの。

オウくんは、訝しげに顔を歪めて「もう一回言って」と言葉を絞り出した。


「え?ビションフリーゼ?」

「あほか!!」


あほかって言われた。