希は参考文献から目も離さず、「ふーん」と鼻を鳴らす。
「キリはああいうドラマチックな恋愛に憧れてるわけだ」
「そんなんじゃ、ないけど…」
「ふ、かわいいな。女の子みたい」
女の子みたいって、女の子なんですけど。
希が本を閉じて、私を熱い瞳で見つめるから、ゆっくりと振り向く。それが合図だったのか何なのか分からないけど、希は左手で首の裏を支えて、唇に噛み付いた。
会ってもこういうことしかしない。こういうことをするためしか、会ってくれない。何が残るんだろう。私たちに何が残るんだろう。
私は透子みたいにはなれない。小学校から同じだったのに、どこで間違ったのかな。
「自分で、脱いで」
「っ」
「ほら早く。時間ないんだから」
「いやっ……」
ふい、と顔を逸らすと、希は一瞬黙って「そう」と小さく言葉を漏らした。それは今まで聞いたことないくらい冷たくて、感情のない声で、私は震え上がる。
「の、ぞむ」
「帰っていいよ」
「え…」
「もう帰っていいよ。いらないから」
私、なんで希のこと好きになったんだっけ。なんでこんな私の事なんとも思ってない男に心酔してるんだっけ。

