太ももの上に乗ったままの足を持つから、靴を履かせてくれるのだと思っていたら、そのまま足の甲にキスをされた。
驚いて、頭がついていかない。心臓が少し遅れて鼓動を速める。
「オ、オウくん、何するの!汚いよ!」
「汚くない。透子の体は全部綺麗だ」
「う、あ、急に変なこと言わないで!」
なんてことするの!周りの群衆のことを忘れていて、みんな私と同じように顔を染めてぽかんとしていた。みんなの前で、こんな、足の甲にキスする人なんてこの人しかいない。
無理矢理オウくんの太ももの上から足を離して、自分で靴を履く。靴擦れをしたところはまだちょっと痛いけど、さっきに比べたら全然マシだ。
そうやって、傷付いたところがあれば、お互いが絆創膏を貼って痛みを和らげてあげる。
そんな関係に、なれたらいいな。私たちに、なれるかな。
「とこ。俺と付き合っ……て、ください。お願いします」
「はい。よろしくお願いします」
立ち上がって、いつものように私を見下ろすオウくんに頭を下げると、周りから大きな拍手が聞こえて、とんでもなく恥ずかしい気持ちになった。なんで、祝福されてるんだろう。オウくんも訳が分からないのか怪訝な顔をしている。
そうして、あの工藤桜司が跪いて愛の告白をしたのだという噂は、瞬く間にキャンパス内に広まって、久瀬透子という名前も同時に、広まることになったのだった。

