にべないオウジ



立ち止まって、恐る恐るサンダルを見てみると、痛々しいほど皮がずり剥けていて、そこから血が流れている。

ひい、と息を吸って、痛くて痛くて涙目になる私の前に、人影が落ちた。


キャンパスのど真ん中。昼休みで人の流れがすごくて、みんな各々楽しそうに話をしている。大勢のグループで騒ぎ合っている人もいる。

みんな、楽しそう。

それぞれの会話を楽しんでいたはずなのに、この人が現れるとみんな一斉に目を奪われた。会話を中断して、ヒソヒソと噂しながら彼を見ている。


そんな中私は立ち止まって、すぐ注目の的になってしまう目の前の彼に、ただ見とれることしか出来ない。

それは、王子様役がハマりすぎて、一時期ファンクラブが設立されていた人。


「……あ、オウ、くん」


名前を呼ぶと、彼はそのまま私の前で跪いた。

なんの抵抗もなく片膝を地面につけるオウくんに、私も、周りの人も、みんなぎょっとする。


「え、何してっ」

「痛いくせに、我慢しすぎ」

「っ」


跪いたまま、私のサンダルを脱がして、太ももの上に素足を乗っけた。絆創膏を用意していてくれたらしく、赤く血の出るところの上から、そっと絆創膏が貼られる。

痛くて、びくっと肩が揺れると、オウくんは心配そうに私を見上げた。


うそ。何してるの?そんな、みんなの前で。みんな見てるよ。みんなオウくんのこと知ってるんだよ。なのに、私なんかの前で膝をついて、絆創膏貼ってくれて。