お互い、肩を上下に揺らしながら思いのままに言葉をぶつけ合う。近所迷惑も甚だしい。思わず透子の白くて細い腕を強く握ってしまっていたため、慌てて緩める。
透子は、怪訝な顔で俺を見つめた。
「ねえ、今のってもしかして、告白なの?」
ロマンもクソも、なさすぎる。喧嘩の延長線上の告白に、俺は唇を噛み締める。こんなつもりじゃなかったのに。もっと、透子の記憶に一生残るような、こいつに喜んでもらえるような、そんな告白を夢見ていたのに。
素直になれない俺が、そんなロマンチックに愛を伝えられるわけなど、ないのだ。
透子は未だに信じられないのか、眉間のシワを緩めない。無理もない。こんな「お前とはもう絶交だ!!」みたいなトーンで、惚れていると告げられたのだから。
だけど俺は人生で初めて、自分の思いを告げたんだ。お前以外いない。今までも、これからも、透子以外に伝えない。
だから伝え方が多少下手くそでも、目を瞑ってくれたっていいだろ。
「……今の、忘れて」
「え、忘れるの!?」
「忘れるんだよ。返事もしなくていい」
「な、なぜ」
「帰る!!」
「なぜ!?」
その時、透子の家のドアが開いて、透子のお母さんが「なんの騒ぎ?」と顔を覗かせた。
俺は小さく頭を下げて、自分の家に帰るために踵を返す。「オウくんっ」と透子のちょっと怒った声が辺りに響いた。
「……ちゃんと、やり直す。だからその時まで、返事、考えといて」
そう言った俺の声は震えていて、なんて情けないんだと、泣きたくなった。

