依子さんはもう一度探しに行ってくると言って、俺には透子が戻ってくるかもしれないからここにいろと言われた。
なので一人、透子の家の前でしゃがみ込む。生ぬるい風が襲って、心細すぎて寂しすぎてたまらない気持ちになる。
透子は今どこにいるんだろう。俺みたいな思いをしてなきゃいいけど。透子は俺がいないところの方が楽しく過ごせるんだろうか。考えて、死にたくなったので、やめた。
どれくらい経っただろうか。もう時間の感覚がない。透子がいない世界は、時間ですらどうでもいいように感じる。
ゆっくりと、足音が聞こえてくるので、俺は顔を上げた。
あいつの足音なら、すぐに分かる。ひょこひょこ、ひよこみたいに歩くから。俺はいつもその隣で、歩く速度をかなり緩めて、その足音を聞いているから。
「オウくん」
「……とこ」
「まさかずっとそこで待ってたの…?」
会いたかった。会いたくてたまらなかった透子は、俺の姿を見て「なんで?」と言いたげに顔を歪めた。
「お前が連絡しても出ないし、どこ探してもいないからだろ…!」
「……今はオウくんの顔見ると言いたくないことまで言っちゃいそうだから、ごめん、帰って」
俺を素通りして家の中に入ろうとする透子の腕を掴んで、名前を呼ぶ。ダメだ。入らせない。
お願いだよ。命令じゃない。居なくならないでくれよ。お前が居なきゃ、俺は生きた心地がしないんだ。

