ぎゅ、と大切なものを持つみたいに溶けたアイスの入った袋を持っていると、遊馬くんにそれを奪われる。
オウくんと食べるはずだったアイス。お互いの気持ちを確かめ合うはずだった時間。それがどこかに放り投げられ、無残に落ちる。
「透子ちゃんさぁ」
「え、はい」
「もう桜司好きでいるのやめなよ」
「え」
私たちは友達って、さっき、言ったよね?
その言葉、信じて良かったんだよね?
その瞳の中には誰が映ってるの?私じゃない。誰も映してないみたいに、冷たい。
「俺だったら透子ちゃんを泣かせないし、こんな暗い公園の中で一人ぼっちにさせないよ」
「あ、遊馬、くん?」
「可哀想な透子ちゃん。俺なら一生可愛がってあげるのに。俺がいないと立てなくなるくらい、愛して、どろどろに溶かしてあげるのに」
「ひ、ぁ……やだっ」
無機質な声でそう呟いて、私の頭に手を伸ばしてするりと撫で下ろす。びくっと得体の知れない恐怖に体が震えた。さっきまで優しく話を聞いてくれた遊馬くんはそこにはいない。
背筋に悪寒が走り、私は抵抗するようにベンチの端に身を寄せる。
「かわいいなぁ。俺を見て恐怖に震えながら涙ぐむ透子ちゃん」
「な、何言って、遊馬くん、なんか変だよ」
「変じゃないよ?言ったでしょ。傷心中の女の子をどろどろに甘やかすのは得意だって」
「ひ……っ」
「ふは、そんな怯えないでよ。心配しなくても何もしないってば」
優しい遊馬くん、無機質な目で私を見る遊馬くん。どっちが本物?

