ポケットのスマホが震える。
涙でぐずぐずになった顔を直すこともせず、画面を確認すると、相手は遊馬くんだった。
ちょっとでも期待した私を、神様が嘲笑った気がした。
なんだかもうどうでもよくて、立ち上がってから歩き出し、遊馬くんからの電話をとる。タイミング悪すぎ。だけど今は独りぼっちだとおかしくなりそうだったから、ちょうど良かったかも。
スマホを耳に当てると、もしもしと言う前に「あ、透子ちゃんー?」と遊馬くんの呑気な声が聞こえてくる。
『ごめーん。今日の三限の授業でレポートの課題出たんでしょ?俺サボったからさー。内容教えてくんない?てか、お金払うしコピペさせてくんない?』
「……」
『……透子ちゃん?』
「ひうっ、ぅ……うあああああ」
『は、え?ちょ、どしたの、何事?』
電話越しで、遊馬くんの驚いたような声色が聞こえる。ガタガタッと何かが落ちる音がした。
「もうっ、う、オウくんのこと、好きなの、しんどいいいい」
『……桜司?』
「だけど、好っき、で、大好きでっ、しんどいいいいい」
仁見さんが言ったから、オウくんへの気持ちは本当に恋なのか確かめるために私なりに考えた。
考えれば考えるほど、やっぱり私にはオウくんしかいなくて、オウくん以外全然見れなくて、それが答えなんだって思った。
アイスを分け合える幸せ、触れたいって思う欲望、触れられたいって思う葛藤、全てがオウくんでできていて、それ以外考えられない。
残酷なほど、私の感情は工藤桜司でできている。

