にべないオウジ



夜、オウくんは時間がほしいって言ってくれたけど、いつになるんだろう。今日はサークルのはずだから、そんなに早くは無理だろうけど。

コンビニでアイスを買おうと家を出て、一応二人分のアイスを買って家に帰る途中。気を抜いたらスキップをしてしまいそうなので、慌てて落ち着かせる。


絶対、怖がらずにオウくんの気持ちを最後まで聞こう。中々言ってくれなくても、冷たい言葉を投げられても、逃げずに受け止めよう。

だって、もしかしたら、私と同じ気持ちに向いてくれているかもしれない。そんなふうに思えるほど、私は舞い上がっていた。



都合のいい女じゃないって。ふふ、私と居るためにクソだるいレポートをしようとしてくれたんだって。

結局今日一日で終わらなかったけど、また一緒にレポート出来たらいいな。

あの時、きっと照れてたよね。可愛かったな。顔見たかったな。もし次同じような時があったら、今度は見せてもらいたいな。


二種類のアイスが袋の中で嬉しそうにカサカサ揺れる。この道を曲がってちょっと歩いたら、私の家。

スマホを見てみると、オウくんから着信が入っていることに気が付いた。掛け直そうとするけど、家の前にアースカラーのオウくんが立っているのでスマホをポケットに入れる。


「オウくっ……」


つま先に力を込めて走り出そうとした時、薄暗い住宅街の中、街灯に照らされるオウくんと、その前には、お姉ちゃんがいることに気付いて、足を止めた。


「依子さん、あの時のこと…あいつには内緒にしててほしい」


いつも以上に真剣な顔つきのオウくんが、じっとお姉ちゃんを見つめている。あの時の、こと?