にべないオウジ



「ちょっともう透子ちゃん、聞いてよ!お姉ちゃんったら勝手に一人暮らしするとか言い出すのよ?有り得ないわ!親の承諾も得ず!」


家に帰ると、開口一番母が鼻息を荒くしながら私に迫ってきた。その話を聞き流しながらリビングへ入る。


「大体ね、彼氏のところに半分転がり込んで、そういうこと自体信じられないのよ。いかがわしい。どうせ一人暮らししたってすぐ男の子連れ込むのよ、あの子。ねえ、透子ちゃんもそう思うでしょ?」

「でもお姉ちゃんはあの彼氏のこと本気で好きだって言ってたし、悪いことじゃないと思うけど…」

「透子ちゃんまでお姉ちゃんの味方なの?」


味方とか、味方じゃないとか、そういう事じゃなくて。そういう考え方もあるっていう話だよ。

だけど一度こうなった母は止められない。娘が自分の思い通りにいかないと、興奮して、荒れて、最後に落ち込む。父に宥めてもらわないと落ち着かない。


"親に束縛される人生なんて、しんどすぎるから。"

お姉ちゃんはそう言ったけど、そう思うのも分かるけど、けど私はこんな状態のお母さんを放って家は出れないよ。

ちゃんと話し合えばいいのに。話してもどうせ理解し合えないって思うんじゃなくて、この人と血を分け合った家族なのに。なんでそんな避けるんだろう。


私を、巻き込まないでほしい。


「透子ちゃんだけは、ママを裏切らないでね…」


言葉は呪いだ。

私は生まれてからずっと、母に呪いにかけられ、この檻いえからずっと、抜け出せないでいる。