にべないオウジ



知恵袋にまた聞いてみようかな。

……ううん、違う。オウくんに聞かなきゃ。ちゃんとオウくんの口から、オウくんの言葉で聞かなきゃ。


「とこ。今日の夜、時間ある?」


そうじゃないと、私たち、一生向き合えないままだ。


「話したいこと、あるから。お前の時間、少し欲しい」

「……うん」


たとえ時間がなくても、どうにかしてオウくんのために作るよ。そんな用事は全て放り出して、オウくんに会いたいよ。

同じ時間に一日が始まって、同じ時間に終わる高校までとは違う。私たちが大学で会える時間も限られている。

きっと、社会人になったらもっと時間が合わなくなるんだ。だけど私は、オウくんがそう言ってくれるならいつだって時間を作れる。


「ねえ、オウくん」

「ん?」

「私って、都合のいい女?」


分かりやすく彼の顔が歪んで、パソコンを触ろうとしていた手が止まった。長い指。その10本の指に触られるキーボードですら、羨ましい。いつから私、こんなふうに欲張りになったんだろう。


「……都合のいい女と、一緒に居たいからって、わざわざ人のいないパソコン室予約してクソだるいレポートなんかしねーよ」


ふい、と顔を背けるオウくんの表情は分からないけど、髪から覗く耳はほんのり赤くて、私は無性にその可愛い耳を食べたくなった。

私の耳を噛む時も、同じような気持ちになってくれてるのかな?そうだったら、そんな幸せなことはないなぁ。