何の音も、誰の声も聞こえない。
心臓の音が聞こえていなければいいな。
「コピペってさ、ずるいよね。私許せないんだけど。作った人もさ、誰かに回されて嫌じゃないのかな?」
「まぁそれで金稼いでるやつもいるしな」
「そうなの!?すごいね、大学生って。考えることが不良」
「ふはっ、不良って。お前の基準、なに?」
オウくんが私の言葉に笑ってくれるから、たまらなくドキドキした。小学生の時から一緒なのに、こんな時間一度もなかったもの。
ふと、見つめていると目が合う。
王子様。その名に相応しい清潔感と、綺麗な顔。だけど中身は口が悪くて、無愛想で、素っ気ない。それなのに、たまーに、かわいい一面を見せてくれる。
そのギャップに、くらくらする。
何かに引かれ合うように、お互い唇を寄せ合った。ねえ、なんで私たち、キスはするの?私って、オウくんの何?
瞼が震えて、目を閉じる直前。咄嗟に離れて距離を取るオウくんの瞳が、切なげに私を見た。
「……ダメだ。また、制御出来なくなる」
苦しそうに言葉を吐いて、前髪をそっとかき分けられる。そのまま額に唇が落ちて、焦れったく、離れる。「…ぁ」と思わず声が漏れた。
ねえ、都合のいい女にも、そんなふうにおでこにキスするの?そんな、切なそうにしながら?都合のいい女なら、制御出来なくなるとか、そんなこと考えずにしたらいいのに。
勘違いしそうになるよ。
オウくんの噛み跡がもう全部消えちゃって、私も切ないよ。

