「えー、嫌だなぁ。そしたらお姉ちゃんに服貸してもらえなくなるし」
「あはっ、そこ?薄情な妹だねー」
「それに、ママも寂しがるよ」
母と姉は、仲良いふりをしているけど、実際はそうじゃない。根本的に性格が合わないのだと思う。
母のお腹から生まれてきて、遺伝子も全部引き継いでいるのに合わないって、変な感じ。
「いい加減子離れしないといけないんだよ。透子も早く考えなよ?親に束縛される人生なんて、しんどすぎるから」
ま、透子はそこまで考えてないか。と付け加えて、姉はリビングから出て行こうとする。ふと足を止めて、振り返った。
「最近桜司とはどうなの?」
「うぇっ、オウくん?」
「ふは、声裏返ってるし。やっぱこの前必死に首元隠してたのは、桜司が原因だな?」
「だからなんで分かるの!」
「そうやってすぐ顔赤らめて、否定しないからだよ」
お姉ちゃんには何でもお見通し。オウくんのことを相談したのは、高校に入ってからだった。私よりも色んなことを経験して、色んな人と仲良くしてて、そんなお姉ちゃんに相談するのは心強かった。
「ねえ、なんでお姉ちゃんってさ、全然学年の違うオウくんと仲良くなったの?」
その質問をすると、いつも曖昧に笑ってはぐらかされるけれど。

