もう9月になって、大学の授業は始まっている。桜司は夏休みを開けて髪を切ったので、女達の反応がいちいちうるさい。
切った、と言っても肩にかからないくらいの長さだ。めちゃめちゃ短髪にしたわけでもない。
なのに女達はすぐに切ったことに気付き「桜司かっこいい」と甘い声を出すのだ。その言葉を本人は全く聞いてないけど。
昼休みが始まり、キャンパス内は沢山の人で溢れかえる。すると桜司は何も言わず突然立ち上がるので、そばにいた女が驚いた。
「桜司、どこ行くの?」
「ついてくんな」
「ええーっ、ひどーい」
そう言った桜司は俺を見て、顎をクイと動かした。あ、俺はいいんだ。そんなことを思いながら席を立つ。
どうやら授業がある日は透子ちゃんと一緒にお昼を食べることになったらしい。すごいな。急加速で進展している。それって二人きりで食べなくていいの?と思うけど、いいらしい。よく分からん。
元々なんでうまくいってないんだって不思議に思うレベルだったし、一度歯車が上手く噛み合えば、その後はスムーズに事が進むんだな。
もう、とっくに殴られた時の傷は消えてしまった。絆創膏は剥がしたくなかったけど、いつまでも付けていられないので、剥がした。
透子ちゃん。もう桜司のものになったのかー。
「え?付き合ってないよ?」
先にテラスにいた透子ちゃんに「付き合うことになったんだね。おめでとう」と言うと、何言ってるの?と言わんばかりに、彼女はきょとんとした。

