しばらく二人が睨み合って、弟の方が先に目を逸らす。「興醒め」と言葉を残して、さっさとこの場を去っていく。
背中に背負う弓。今、彼はどんな思いで、弟の背中を眺めているのだろう。
まだ工藤弟の背中を見つめ続けるオウくんを見つめて、ずっと日傘を差してくれていたので、受け取ろうと取手を持つ。
と、離してはくれなくて、そのまま熱い壁にドンッと押し付けられた。
壁、私、オウくん。その順番に並んで、日傘が私たちを太陽から守る。壁と日傘に挟まれ、オウくんに覆われているため、通りすがる人には、私たちの顔まで見えない。
「どこ触られた?」
「え、と、どこも……あ」
「あ?」
花火をした日以来、初めて会ったのに、次会ったらどんな顔しようって、どんな話しようって、いっぱい考えていたのに、そんなものどこかへ消える。
目の前のオウくんにいっぱいいっぱいで、ただ呼吸をするのに必死だ。
「ここ」と恐る恐る首にある、もう消えかけたソレを三箇所指差していくと、舌打ちが聞こえた。
「オ、オウくんっ、ひぁっ」
さっきまで冷や汗が流れていた首筋に、この前みたいに顔を埋めて、だけど噛むことはしない。焦れったく、舐めて、こんな外なのに、恥ずかしい水音が耳に届く。
「もう、消えかけ…」とオウくんの瞳が切なそうに揺れるから、胸がぎゅうっとなった。この人はとっくにリミッターなんて外れていて、私は体を震わせながら、立っているだけで精一杯だった。

