似てる。オウくんに。兄弟なんだから当たり前なんだけど。暑い時ウザそうに前髪をかきあげるところとか、だるそうに溜め息を吐くところとか。
「何、はじめてのおつかい?」
「初めてじゃない!」
「あっそ」
このまま過ぎ去ってくれたらいいのに、工藤弟は立ち止まってじっと私を見つめる。アスファルトからの照り返しが痛いくらい暑くて、少しクラクラした。
とん、と鎖骨の上あたりを人差し指で押されて、私はびくりと肩を震わす。感情のない瞳。この人、暑いとか思うのかな。
「これ、兄貴?」
「えっ」
「残念だけど隠しきれてない」
しまった。首の詰まったTシャツばかり着すぎて全部洗濯に出しちゃったから、普通のものを着てるんだった。スーパーに行くくらい誰にも会わないからって。
だけど、それでも痕はもう薄いはずだ。目を凝らさないと気付かないくらい。
工藤弟は目を細める。「やっぱ透子はバカだね」と言葉には似合わない笑顔を、私に向けた。
「兄貴もえぐいなぁ。いち、に、三つもあるじゃん。は、余裕なさすぎ」
数えながら、その場所を指で押されて、とんでもなく恥ずかしくなった。動揺しているのは私だけで、工藤弟は平然としている。

