「都合のいい女、ねぇ…」
クーラーの効いた部屋。キリちゃんの持つアイスティーの氷が、カラカラと音を立てた。
目を伏せて、小さく笑う。その表情が少し泣きそうで、心配する。
「ダメだよ、透子はそんな女になっちゃ」
彼女は昔から、あまり自己表現を出来なかった私の横で、笑ったり、泣いたり、怒ったり、色んな表情を見せてくれた。
私に怒ることはしなかったけど、私をからかってくる男子に注意してくれて、いつも傍に居てくれた。
私はキリちゃんのために、何かしてあげれてるのかな?
キリちゃんから、悩み事とか、相談事はあまり聞かない。初めて生理が来た時も、彼女に初めて彼氏が出来た時も、受験の志望校も、全て事後報告でいつだってあっけらかんと笑いながら言われる。
「キリちゃんもだよ」
彼女の持つアイスティーが殻になるので、注ぎ足す。
「私、キリちゃんのことも大好きだよ。だから、誰かの都合のいい女なんて、なっちゃダメだよ」
大丈夫だよね?キリちゃん。彼女は私の言葉を聞いて、ふっと笑い「うん」と眉を下げた。
私きっとこの人が居てくれなかったら、出来ないことばっかりだった。自分から話しかけるのも、本当に嫌なことは首を振るのも、嬉しい時はちゃんと言葉にしなきゃ相手に伝わらないことも、キリちゃんを見て学んだの。
大切なの。私にとってはオウくんも、キリちゃんも。かけがえのない、大切な人なの。

